セカイシゴト

30代・40代でシンガポールで働く:年齢で変わる EP・S Pass の最低月給

最終確認:2026年9月29日

「シンガポールの就労ビザには年齢制限があるのか」という質問をよく見かけます。答えは、年齢で申請できなくなる上限はありません。その代わり、EP と S Pass には年齢が上がるほど高くなる最低月給があります。30代・40代で転職を考える人にとって、これが実質的なハードルになります。この記事では、年代別の金額と、交渉や応募先選びで押さえることを整理します。

年齢制限ではなく「年齢で最低月給が上がる」仕組み

EP と S Pass には、MOM(人材開発省)が定める最低月給(qualifying salary)があります。この金額は一律ではなく、申請者の年齢によって変わります。23歳以下が最も低い基準で、そこから1歳ごとに少しずつ上がり、45歳以上で上限に達します。45歳を過ぎると、それ以上は上がりません。

つまり、何歳でも申請はできます。ただし年齢が上がるほど、会社が支払う固定月給も高くなければなりません。MOM は、年齢を重ねた人ほど経験に見合った給与を求めるという考え方で基準を作っています。20代なら通る給与でも、同じ金額では40代は届かない。これが年齢による違いの中身です。

上がり方の目安は次のとおりです。いずれも MOM の年齢別の表から読み取れる幅です。

  • EP(一般)現行:23歳以下 S$5,600 から45歳以上 S$10,700 まで。1歳あたり約 S$230 ずつ上がる
  • EP(一般)2027年〜:23歳以下 S$6,000 から45歳以上 S$11,500 まで。1歳あたり S$250 ずつ上がる
  • S Pass(一般)現行:23歳以下 S$3,300 から45歳以上 S$4,800 まで。1歳あたり約 S$68 ずつ上がる
  • S Pass(一般)2027年〜:23歳以下 S$3,600 から45歳以上 S$5,100 まで

金融サービス業はどちらのパスも別の表があり、一般の業種より高く設定されています。EP の金融は現行 S$6,200〜S$11,800、2027年〜は S$6,600〜S$12,700 です。S Pass の金融は現行 S$3,800〜S$5,650、2027年〜は S$4,000〜S$5,650 で、45歳以上の上限は据え置きです。

基準と比べるのは固定月給(fixed monthly salary)です。年収の総額ではなく、毎月決まって支払われる金額で判断されます。求人票や内定通知の給与を見るときは、この点に注意してください。

年齢別の最低月給をチェックする →年齢とパスの種類を選ぶと、現行と2027年〜の最低月給を確認できます。

年代別の最低月給の目安(25・30・35・40・45歳)

25歳から5歳刻みで、4つの区分の最低月給を並べました。数値は MOM の年齢別の表のとおりです。「現行」は2027年1月1日より前の新規申請に使われる基準、「2027年〜」は2027年1月1日以降の新規申請に使われる基準です。

EP の最低月給(固定月給、S$)
年齢EP 一般・現行EP 一般・2027年〜EP 金融・現行EP 金融・2027年〜
25歳S$6,064S$6,500S$6,709S$7,155
30歳S$7,223S$7,750S$7,982S$8,541
35歳S$8,382S$9,000S$9,255S$9,927
40歳S$9,541S$10,250S$10,527S$11,314
45歳以上S$10,700S$11,500S$11,800S$12,700
S Pass の最低月給(固定月給、S$)
年齢S Pass 一般・現行S Pass 一般・2027年〜S Pass 金融・現行S Pass 金融・2027年〜
25歳S$3,436S$3,736S$3,968S$4,150
30歳S$3,777S$4,077S$4,389S$4,525
35歳S$4,118S$4,418S$4,809S$4,900
40歳S$4,459S$4,759S$5,230S$5,275
45歳以上S$4,800S$5,100S$5,650S$5,650

EP の一般で見ると、30歳と40歳の差は現行で S$2,318、2027年〜で S$2,500 です。25歳と45歳以上を比べると、現行でも1.7倍を超えます。S Pass は差が小さく、30歳と40歳の差は一般で S$682 です。

表にない年齢は、前後の値の間に入ります。たとえば EP 一般の現行では、33歳が S$7,918、34歳が S$8,150 です。1歳違うだけで基準が変わるので、自分の年齢の正確な金額を確認してから判断してください。

年代ごとの基準の幅と考え方

30代・40代の中でも、前半と後半で基準はかなり違います。一般の業種について、年代ごとの幅をまとめました。

年代ごとの最低月給の幅(一般の業種、固定月給)
年代EP 現行EP 2027年〜S Pass 現行S Pass 2027年〜
30〜34歳S$7,223〜S$8,150S$7,750〜S$8,750S$3,777〜S$4,050S$4,077〜S$4,350
35〜39歳S$8,382〜S$9,309S$9,000〜S$10,000S$4,118〜S$4,391S$4,418〜S$4,691
40〜44歳S$9,541〜S$10,468S$10,250〜S$11,250S$4,459〜S$4,732S$4,759〜S$5,032
45歳以上S$10,700S$11,500S$4,800S$5,100

30代前半

EP の基準は現行で S$7,000 台から S$8,000 台前半です。1歳違うと現行で約 S$230、2027年〜で S$250 変わります。給与が基準ぎりぎりで、応募から申請までに誕生日をまたぐ場合は、1歳上の基準でも満たすかを見ておくと安心です。

30代後半

EP の基準は現行で S$8,000 台から S$9,000 台、2027年〜は S$9,000 から S$10,000 になります。求人の給与レンジの中位から上の金額が必要になることが増えます。EP で届かない職種では、S Pass で採用する会社かどうかが分かれ目になります。

40代

EP の基準は現行で S$9,500 前後から S$10,000 台、2027年〜は S$10,000 を超えます。管理職や、専門性の高い職種で給与水準の高い求人が中心の候補になります。S Pass なら一般の業種で現行 S$4,459〜S$4,800 と、EP との差が大きく開きます。職種と給与によっては、S Pass のほうが現実的な場合もあります。

30代・40代が押さえるべきこと

同じ給与でも年齢で届かないことがある

具体的な例で見てみます。EP 一般で固定月給 S$8,000 の内定が出たとします。現行の基準なら33歳(S$7,918)までは満たしますが、34歳(S$8,150)では届きません。2027年〜の基準では31歳(S$8,000)までが対象で、32歳(S$8,250)では届きません。

S Pass 一般で固定月給 S$4,000 の場合も同じです。現行では33歳(S$3,982)までは満たし、34歳(S$4,050)では届きません。2027年〜の基準では28歳(S$3,941)まで、29歳(S$4,009)では届きません。

求人票の給与レンジが「S$7,000〜9,000」のように幅を持っている場合、下限の金額では30代後半以降は EP の基準に届かないことがあります。応募の段階で、自分の年齢の最低月給とレンジを照らし合わせておくと、話が進んでから行き詰まるのを避けられます。

給与交渉のポイント

  • 最低月給と比べるのは固定月給。手当や賞与を含めた総額で基準を超えていても、固定月給が届かなければ条件を満たさない
  • 提示額が基準ぎりぎりなら、固定月給の部分を上げられないか相談する。総額が同じでも、配分を変えれば基準を満たせる場合がある
  • 2027年以降に新規申請になる場合や、2028年以降に更新を迎える場合は、新しい基準で考える
  • 更新のたびに年齢も上がる。更新時点の年齢と基準で届くかを見て、昇給の見込みを確認しておく
  • EP の場合、最低月給を超えていても COMPASS の点数が足りなければ通らない。給与を上げると COMPASS の給与項目の点数にも効く

会社側は、日本人の年齢別の基準を詳しく知らないこともあります。自分の年齢での金額を示して、「この金額以上でないと申請が通らない」と具体的に伝えるほうが話が早く進みます。

EP は COMPASS も必要

EP は2段階で審査されます。まず最低月給(Stage 1)を満たし、そのうえで COMPASS という点数制(Stage 2)で40点以上が必要です。COMPASS の基本項目は C1 給与・C2 学歴・C3 多様性・C4 現地雇用への貢献の4つで、それぞれ0〜20点です。ボーナス項目として C5 スキル(0〜20点)と C6 戦略的経済優先(10点)があります。

30代・40代に関係が深いのは C1 給与です。C1 は、同じ業種・同じ年齢層の現地の PMET(専門職・管理職・エグゼクティブ・技術者)の給与と比べて点数が決まります。年齢が上がると比べる相手の給与水準も上がるため、最低月給をわずかに超える程度では C1 で点数を取りにくくなります。

PMET が25人未満の会社では、C3 と C4 が既定でそれぞれ10点として扱われます。この場合、給与と学歴で合わせて20点あれば40点に届きます。固定月給が S$22,500 以上の場合などは COMPASS が免除されます。

COMPASS の点数を計算する →業種・年齢・月給・学歴などから、EP の審査で必要な40点に届くかの目安がわかります。EP で応募できる求人を見る →EP の申請に対応する求人だけを絞り込めます。

S Pass との違い

EP の基準に届かない場合、S Pass が候補になります。S Pass の最低月給は EP より低く、年齢による差も小さめです。45歳以上でも一般の業種で現行 S$4,800、2027年〜で S$5,100 です。

ただし S Pass は、会社側に雇用枠と雇用税があります。サービス業では総従業員数の10%までしか S Pass で雇えず、1人につき月 S$650 の雇用税がかかります。給与の基準は満たしていても、会社の枠が埋まっていれば申請できません。EP には雇用枠も雇用税もありません。

30代・40代から見た EP と S Pass の違い
項目EPS Pass
最低月給(一般・現行)S$5,600〜S$10,700S$3,300〜S$4,800
最低月給(一般・2027年〜)S$6,000〜S$11,500S$3,600〜S$5,100
30歳と40歳の差(一般・現行)S$2,318S$682
最低月給以外の審査COMPASS 40点以上給与と職務内容が中心
会社側の雇用枠なしあり(サービス業は10%)
会社側の雇用税なし月 S$650/人
S Pass で応募できる求人を見る →S Pass の申請に対応する求人を探せます。

会社側の事情

会社から見ると、30代・40代の外国人を EP で雇うには、年齢に応じた高い固定月給を払う必要があります。さらに COMPASS の C3・C4 は会社の社員構成で決まるため、同じ人でも応募先によって点数が変わります。日本人の社員が多い会社では C3 の点数が低くなることがあります。

S Pass で雇う場合は、給与の基準は低くても、雇用枠の空きと毎月の雇用税が必要です。小規模な会社や外国人社員がすでに多い会社では、S Pass を出せないこともあります。応募先がどのパスで採用する想定なのか、早めに確認しておくと無駄がありません。

2027年の引き上げの影響

MOM は最低月給の引き上げを発表しています。新しい基準は、2027年1月1日以降の新規申請と、2028年1月1日以降に満了するパスの更新に使われます。2027年中に満了するパスの更新には、現行の基準が使われます。

引き上げ幅は年齢によって違います。EP 一般では23歳以下が S$400 上がり、45歳以上は S$800 上がります。年齢が高いほど上げ幅が大きいので、30代・40代への影響が大きくなります。S Pass 一般はどの年齢も S$300 の引き上げです。S Pass 金融は若い年齢ほど上げ幅が大きく、45歳以上は据え置きです。

EP 一般の引き上げ幅(現行 → 2027年〜)
年齢現行2027年〜差
30歳S$7,223S$7,750+S$527
35歳S$8,382S$9,000+S$618
40歳S$9,541S$10,250+S$709
45歳以上S$10,700S$11,500+S$800

今の EP や S Pass で働いている人は、更新時の年齢と新基準を組み合わせて考える必要があります。たとえば今36歳で2028年に更新を迎えるなら、そのときの年齢で2027年〜の表を見ます。今の給与で現行の基準をぎりぎり満たしている人は、更新時に届かなくなるおそれがあります。

これから転職活動をする人も、申請が2027年1月1日以降になりそうなら新しい基準で考えておくほうが安全です。内定から申請までに時間がかかることもあるので、年をまたぐ時期の応募では特に注意してください。

年齢別の最低月給をチェックする →更新時の年齢で、2027年〜の基準も確認できます。

年齢に関係なく働ける道

家族の立場でシンガポールに滞在している人には、最低月給の定めがない働き方があります。年齢に関係なく使えるのが特徴です。

  • DP-WP:EP 保持者などの家族として DP(Dependant's Pass)で滞在している人向けの Work Permit。最低月給の定めはない。会社側には Work Permit の雇用枠と雇用税がかかる
  • LOC:ICA 発行の LTVP を持つシンガポール国民・永住者の配偶者などが対象。最低月給の定めはなく、会社側に雇用税も雇用枠もない

配偶者の転勤に同行している人や、シンガポール人・永住者と結婚している人は、EP や S Pass の年齢別の基準を気にせずに仕事を探せます。ただし DP-WP は会社側に雇用枠と雇用税の負担があるため、会社がその前提で募集しているかを確認してください。DP 保持者でも、給与が基準に届く仕事なら EP や S Pass を取ることもできます。

就労パスの種類と違いを見る →EP・S Pass・DP・LTVP の違いをまとめています。

自分の条件を確認する方法

応募前や内定を受ける前に、次の順で確認しておくと安心です。

  1. 自分の年齢と、応募先の業種(金融サービスかどうか)を確認する
  2. セカイシゴトの最低月給チェッカーで、EP・S Pass の現行と2027年〜の金額を見る
  3. 提示された固定月給と比べる。申請や更新の時期が新基準にかかるかも確認する
  4. EP の場合は、MOM の自己診断ツール(SAT)で COMPASS を含めた見通しを確認する
  5. 会社に、どのパスで申請する想定か、S Pass なら雇用枠の空きがあるかを聞く

MOM の SAT(Self-Assessment Tool)は、EP や S Pass の基準を満たしそうかを申請前に確認できる公式のツールです。結果は目安で、最終的な審査は MOM が行います。会社も事前に結果を約束することはできません。

面接や内定のときに聞いておきたいこと

  • 提示額のうち、固定月給はいくらか。手当や賞与と分けて示してもらう
  • EP・S Pass のどちらで申請する想定か。S Pass なら雇用枠に空きがあるか
  • 申請はいつごろになりそうか。2027年1月1日をまたぐ場合、新基準でも満たすか
  • 更新時に基準を満たすための昇給の見込みはあるか
  • パスが下りなかった場合の扱い(内定の取り消し、別のパスでの再申請など)
年齢別の最低月給をチェックする →年齢と業種から、EP・S Pass の最低月給を確認できます。

よくある質問

+シンガポールの就労ビザに年齢制限はありますか。

EP と S Pass に、何歳以上は申請できないという上限はありません。ただし最低月給が年齢で上がり、23歳以下が最も低く、45歳以上で上限になります。年齢が上がるほど高い固定月給が必要です。

+40歳で EP を取るには月給いくら必要ですか。

一般の業種では、現行の基準で S$9,541、2027年1月1日以降の新規申請では S$10,250 です。金融サービス業では現行 S$10,527、2027年〜は S$11,314 です。EP はこれに加えて COMPASS で40点以上が必要です。

+30歳の S Pass の最低月給はいくらですか。

一般の業種では現行 S$3,777、2027年1月1日以降の新規申請では S$4,077 です。金融サービス業では現行 S$4,389、2027年〜は S$4,525 です。

+45歳を過ぎるとさらに最低月給は上がりますか。

上がりません。45歳以上は同じ金額です。EP 一般なら現行 S$10,700、2027年〜は S$11,500 です。

+今のパスの更新にも2027年の新基準は使われますか。

2028年1月1日以降に満了するパスの更新から新基準が使われます。更新時の年齢で判断されるため、今の給与で届くかを早めに確認しておくと安心です。

+最低月給に届かない場合、ほかに働く方法はありますか。

DP 保持者なら最低月給の定めがない DP-WP、ICA 発行の LTVP を持つ人なら LOC で働けます。どちらも年齢別の基準はありません。DP-WP は会社側に Work Permit の雇用枠と雇用税がかかります。

あわせて読みたい

あなたの就労パスで応募できる求人を探す

EP・S Pass・DP・LTVP など、使えるパスを選ぶだけで応募できる求人に絞り込めます。登録不要です。

求人を探す