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シンガポール国籍の取得(帰化)と日本国籍:申請できる人、流れと費用、日本側の手続き

最終確認:2026年10月4日

シンガポールで PR(永住権)として長く暮らしていると、次の選択肢としてシンガポール国籍(市民権)の取得が見えてきます。ただしシンガポールは大人の二重国籍を認めておらず、日本の国籍法でも、自分の意思で外国の国籍を取ると日本の国籍を失います。この記事では、ICA(入国管理庁)、法務省、在シンガポール日本国大使館の公式情報をもとに、申請できる人、申請から市民になるまでの流れ、日本側で必要な手続き、取ったあとに変わることを整理します。

申請できる人:基本は「PR になって2年以上」

シンガポール国籍は、いきなり申請できるものではありません。ICA が示す申請の区分は次の5つで、シンガポール市民の子を除き、PR であることが前提です。PR の取り方や申請の区分は、永住権の記事にまとめています。

シンガポール国籍を申請できる人(ICA)
区分条件
PR の大人PR になって2年以上、21歳以上
シンガポール市民の配偶者PR になって2年以上、市民と結婚して2年以上
シンガポール市民の子21歳未満・未婚で、市民の法律上の婚姻のもとで生まれた子、または市民の養子
シンガポールで学ぶ PR の学生シンガポールに3年を超えて住み(うち1年以上は PR)、国の試験(PSLE など)に1つ以上合格している
市民の高齢の親PR で、21歳以上のシンガポール市民の親

条件を満たしても、必ず許可されるわけではありません。ICA は審査で何を重視するかを細かく公表していないため、自分が対象になるかどうかは ICA の案内で確認してください。

シンガポールの永住権(PR)の基本 →PR を申請できる人、申請の流れと費用、取得後の CPF・再入国許可・兵役をまとめています。

申請の方法・必要書類・費用

申請は ICA のオンラインサービス(ICA e-Service)から、Singpass(政府の個人認証)でログインして行います。入力と書類のアップロードに7日、その後の見直しと支払いにさらに7日の猶予があり、ICA は1件の入力に90分ほどかかるとしています。

主な必要書類

  • 写真:最近撮ったカラーのデジタル写真(400 × 514 ピクセル、背景は白)
  • パスポート、出生証明書・婚姻証明書(シンガポールで登録していないもの)、離婚や親権の書類など
  • 学歴の証明書と成績証明書、資格・免許の証明
  • 勤務先の在職証明(申請日から3か月以内の日付で、職種・入社日・基本給と総支給額を記したもの)
  • 直近6か月分の給与明細
  • 自営業の場合は ACRA(会社登記の機関)の登記証と、直近3年分の貸借対照表・損益計算書

ICA は、一覧にない書類を追加で求めることがあるとしています。最新の一覧は ICA の書類チェックリスト(PDF)で確認してください。

費用と審査期間

シンガポール国籍の申請費用(大人の PR・PR の子)
支払う時期内容金額
申請時申請料(1件ごと)S$100
完了時市民権の証書(Singapore Citizenship Certificate)S$70
完了時身分証(Singapore Identity Card)S$10

費用はいずれも返金されません。ICA は、申請を12か月以内に処理するとしています。

申請から市民になるまでの流れ

許可が出てもすぐに市民になるわけではありません。ICA の案内では、次の4つの段階を経て市民になります。

  1. オンライン申請:経歴・家族・学歴・仕事・居住について入力し、書類をアップロードする(審査の目安は12か月)
  2. 内定(IPA:In-Principle Approval):16〜60歳の人は、必修のプログラム「Singapore Citizenship Journey(SCJ)」をオンラインと現地の訪問・交流会で修了する(目安2か月)。この段階で、外国籍を放棄する準備を進める
  3. 許可の通知(Approval Letter):外国籍の放棄に使うレターを受け取り、本国で国籍を放棄する手続きをする(21歳以上の人)。そのうえで ICA に出向いて市民の登録をする
  4. 市民権の式典:登録から通常3〜6か月後に、住んでいる選挙区ごとに式典が開かれ、市民権の証書が渡される

外国籍の放棄は登録の前に

ICA は、外国籍の放棄の条件をすべて満たすこと(例として、不動産の所有の問題を解決すること)を求めています。日本の家や土地を持っている人は、何が必要になるか ICA に早めに確認してください。

シンガポールは大人の二重国籍を認めていない

ICA は、シンガポール政府は大人の市民に二重国籍を認めていないとしています。21歳以上でシンガポール国籍を取る人は、それまでの国籍を手放すことが前提です。日本人の場合は、日本の国籍法でも、シンガポール国籍を自分の意思で取った時点で日本国籍を失います。

逆に、シンガポール市民がほかの国の国籍を取った場合も、シンガポール国籍を放棄するよう求められます。一方で、シンガポール市民がほかの国の永住権を持つことはできると ICA は回答しています。

日本側:日本国籍の喪失と国籍喪失届

国籍法第11条は「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と定めています。法務省も、外国に帰化した場合などは自動的に日本国籍を失うと説明しています。届出をしたときではなく、シンガポール国籍を取ったときに日本国籍を失う点に注意してください。

大使館のレターが2回必要

在シンガポール日本国大使館によると、シンガポールへの帰化の手続きの中で、大使館から ICA 宛てのレター(英文・無料)が2回必要になります。

大使館から ICA 宛てのレター(在シンガポール日本国大使館)
いつ求められるか内容と受け取り方
1回目シンガポール国籍を取る前の最終段階日本の国籍の法令などを記したレター。来館予約のうえ、本人が有効な日本の旅券と、ICA がレターを求めている文書(印刷)を持参すると即日発行
2回目シンガポール国籍を取ったあと国籍喪失届を大使館に出したことを記したレター。国籍喪失届を出したときに即日発行

国籍喪失届の期限と必要書類

日本国籍を失ったことを戸籍に反映させるため、国籍喪失届を出します。期限は日本国籍を失った日から1か月以内ですが、届け出る人がその事実を知った日に国外にいる場合は、その日から3か月以内です(戸籍法第103条)。期限を過ぎると「遅延理由書」が必要になります。

  • 国籍喪失届 1通(署名・押印の欄は空けたまま持参する)
  • 日本国籍を失った本人の有効な日本の旅券(大使館で失効の処理をして返される)
  • シンガポール市民権の証書(Certificate of Singapore Citizenship)の原本と、その和訳文 1通(翻訳は誰がしてもよい)
  • 本人以外が届け出る場合は、届け出る人の日本の旅券(本人が15歳未満なら、父母など法定代理人の旅券)
  • 戸籍謄本(あれば。写しでもよい)

大使館での届け出には来館予約が必要で、本人が来館します。書式や記入見本は大使館のページにあります。シンガポール以外に住んでいる人は、住んでいる地域の在外公館に相談してください。

日本国籍を失うと変わること

  • 日本の旅券は使えなくなる(国籍喪失届のときに大使館で失効の処理がされる)
  • 日本では外国人として扱われる。日本で暮らしたり働いたりする場合の条件は、出入国在留管理庁などで確認が必要
  • 国籍法第8条には、日本の国籍を失った人が日本に住所を持っている場合に、日本への帰化の条件の一部を緩める規定がある。ただし帰化は許可制で、元に戻せることが約束されているわけではない

決める前に相談を

国籍は、本人だけでなく家族の将来にもかかわります。この記事は公式情報の整理で、個別の判断の助言ではありません。シンガポール側は ICA、日本側は在シンガポール日本国大使館や法務省に確認してください。

息子の兵役(National Service)

ICA は、外国人の学生として、または親のスポンサーでシンガポール国籍や PR を得た男性は、兵役(NS)の義務があるとしています。家族で国籍を取る場合、息子は対象になると考えてください。

  • 16歳半で NS の登録が必要(CMPB:兵役を管轄する国防省の機関)
  • 入隊は18歳、または大学進学前の教育を終えたときの遅いほう。大学進学のための延期はない
  • NS の通知に従わないと、S$10,000 以下の罰金か3年以下の禁錮、またはその両方
  • NS を済ませずに国籍を放棄すると、将来シンガポールで働いたり学んだりするための申請に重大な影響がある

PR の段階でも同じ義務がかかる場合があります。PR の息子の兵役については、永住権の記事も参考にしてください。

重国籍の子どもの国籍選択

親が子どものシンガポール国籍を申請して取った場合は、親(法定代理人)の意思で外国の国籍を取ったことになり、その子も日本国籍を失います(国籍喪失届の対象)。一方、日本人とシンガポール人の夫婦の間にシンガポールで生まれた子などは、生まれたときから両方の国籍を持つことがあり、この場合は大人になる前にどちらかを選ぶ必要があります。

重国籍の子どもの期限(日本とシンガポール)
期限期限までにしないと
日本(国籍法第14条)18歳になる前に重国籍になった人は20歳まで、18歳以降に重国籍になった人はそのときから2年以内に、どちらかの国籍を選ぶ法務大臣から催告を受け、1か月以内に日本の国籍を選ばないと、原則として日本国籍を失う
シンガポール(ICA)21歳まで二重国籍のままでよい。21歳になったら外国籍を放棄した証明を示す。血統や登録で国籍を得た人は、21歳から22歳の誕生日までに宣誓(ORAL)をする宣誓をしないと、22歳の誕生日にシンガポール国籍を自動的に失う

日本の国籍選択の期限は、2022年4月1日の改正(成年年齢の引き下げ)で、いまは「20歳まで」です。シンガポール国籍を選ぶ場合は大使館に国籍離脱届を出し、数か月後に法務省の国籍離脱通知書が交付されます。大使館は、手続きに数か月かかることを記した ICA 宛てのレターも出してくれるので、期限に余裕を持って相談してください。

市民になったあとに変わること

  • CPF:PR の3年目以降は、市民と同じ積立率になっている。国籍の申請は PR 2年以上が条件なので、取る時点で率が大きく変わることは少ない
  • 住宅:PR だけの世帯には HDB(公営住宅)の購入に制限がある。市民になったあとの条件は HDB で確認する
シンガポールの CPF(年金積立)の基本 →積立率や、PR の1年目・2年目の段階的な率をまとめています。

よくある質問

+日本国籍を持ったままシンガポール国籍を取れますか?

取れません。シンガポールは大人の二重国籍を認めておらず、21歳以上の人は手続きの中で外国籍の放棄が求められます。日本の国籍法でも、自分の意思で外国の国籍を取ると日本国籍を失います。

+EP で働いていますが、すぐにシンガポール国籍を申請できますか?

ICA の区分では、シンガポール市民の子を除き、PR であることが前提です。大人の場合は PR になって2年以上・21歳以上が基本の条件です。まず PR の取得を考えることになります。

+申請にかかる費用と期間は?

大人の PR の場合、申請時に S$100、完了時に証書 S$70 と身分証 S$10 がかかり、返金はありません。ICA は12か月以内に処理するとしています。そのあと SCJ のプログラム(目安2か月)や外国籍の放棄、登録の手続きがあります。

+国籍喪失届はいつまでに出せばいいですか?

日本国籍を失った日から1か月以内ですが、届け出る人が国外にいる場合は、その事実を知った日から3か月以内です。シンガポールでは日本大使館に来館予約をして出します。

+国籍を取ると息子に兵役はありますか?

ICA は、親のスポンサーなどでシンガポール国籍や PR を得た男性には兵役の義務があるとしています。16歳半で登録が必要です。

+日本人とシンガポール人の間に生まれた子どもは、いつまでに国籍を選びますか?

日本の国籍法では、18歳になる前に重国籍になった場合は20歳までにどちらかを選びます。シンガポール側は21歳で外国籍の放棄の証明を求め、宣誓をしないと22歳の誕生日にシンガポール国籍を失います。早めに大使館と ICA に相談してください。

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