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CPF(中央積立基金)の基本:永住権を取った後の料率と手取り、口座のしくみ、帰国するときの引き出し

最終確認:2026年10月1日

CPF(Central Provident Fund、中央積立基金)は、シンガポールの国民と永住者(PR)が老後・住宅・医療のためにお金を積み立てる制度です。EP や S Pass で働いている間は関係ありませんが、永住権を取ると、その日から給与の一部が毎月 CPF に回り、手取りが変わります。この記事では、CPF Board(CPF 庁)と IRAS(内国歳入庁)の公式情報をもとに、料率と手取りへの影響、口座のしくみ、日本に帰るときの扱いを整理します。

CPF の対象になる人

立場ごとの CPF の扱い
立場CPF給与への影響
EP・S Pass・Work Permit などの外国人対象外(希望しても拠出できない)給与から引かれない
永住者(PR)永住権を取った日から対象本人の分が給与から引かれる。会社も別に拠出する
シンガポール国民対象同上

会社は、月の賃金が S$50 を超える国民・PR の従業員について、CPF を拠出する義務があります。パートタイムや臨時の雇用でも同じです。拠出は「本人の分(給与から引かれる)」と「会社の分(給与とは別に会社が払う)」の2つからなり、どちらも本人の CPF 口座に入ります。

永住権を取ってからの料率:最初の2年は低い

PR になってすぐにフルの料率がかかるわけではありません。手取りが急に減らないよう、最初の2年間は低い料率(段階料率)が使われ、3年目から国民と同じ料率になります。

55歳以下・月の賃金が S$750 を超える場合の料率(2026年、CPF Board)
本人会社合計
PR 1年目5%4%9%
PR 2年目15%9%24%
PR 3年目以降・国民20%17%37%
月給 S$6,000・55歳以下の場合の拠出額と手取り(所得税を引く前)
本人の拠出会社の拠出CPF を引いた後の手取り
EP・S Pass(対象外)S$0S$0S$6,000
PR 1年目S$300S$240S$5,700
PR 2年目S$900S$540S$5,100
PR 3年目以降S$1,200S$1,020S$4,800

3年目以降は、月給 S$6,000 の人で毎月 S$1,200 が手取りから減ります。その代わり、会社の分と合わせて月 S$2,220 が自分の CPF 口座にたまります。会社にとっては人件費が月 S$1,020 増えることになるため、PR を取った後の給与の見直しで話題になることがあります。

CPF の拠出額と手取りを計算する →月給と年齢を入れると、PR 1年目・2年目・3年目以降の拠出額と手取りがわかります。

「1年目」「2年目」の数え方

  • 1年目:永住権を取った日から、1周年の月の末日まで
  • 2年目:1周年の翌月1日から、2周年の月の末日まで
  • 3年目:2周年の翌月1日から
  • 例:2026年1月15日に PR を取った人は、2027年1月31日までが1年目、2027年2月1日から2年目、2028年2月1日から3年目

PR を取ったら、取得した日を会社に知らせる必要があります。その日以降の賃金から CPF の拠出が始まります。

55歳を超えると料率が下がる

年齢別の料率(PR 3年目以降・国民、月の賃金が S$750 を超える場合)
年齢本人会社合計2027年1月から
55歳以下20%17%37%変更なし
55歳超〜60歳18%16%34%本人19%・会社16.5%・合計35.5%
60歳超〜65歳12.5%12.5%25%本人13%・会社13%・合計26%
65歳超〜70歳7.5%9%16.5%変更なし
70歳超5%7.5%12.5%変更なし

年齢の区分は、55・60・65・70歳の誕生月の翌月1日から切り替わります。2027年1月からは、55歳超〜65歳の人の料率が上がることが発表されています。

拠出には上限がある

  • 月の賃金の上限は S$8,000(2026年1月から)。月給が S$10,000 でも、CPF は S$8,000 に対して計算する
  • 55歳以下・3年目以降の場合、月給から引かれる本人の分は最大 S$1,600、会社の分は最大 S$1,360
  • 賞与にも同じ料率で拠出するが、月給と賞与を合わせた年間の上限は S$102,000。賞与の対象になる額は「S$102,000 − その年の CPF の対象になった月給の合計」まで
  • 端数:合計は1ドル単位に四捨五入、本人の分は1ドル未満を切り捨て、会社の分は「合計 − 本人の分」

月の賃金が S$750 以下の場合は、本人の分が少なくなる別の計算式があります(S$500 以下は会社の分だけ、S$50 以下は拠出なし)。

最初からフルの料率にすることもできる(合同申請)

PR 1・2年目の人は、会社と本人が一緒に CPF Board に申請すると、最初から高い料率を選べます。選べるのは次の2つです。

  • 会社も本人もフルの料率にする
  • 会社だけフルの料率にして、本人は低い料率のままにする

申請はオンラインのフォームで行い、CPF Board が承認した後から適用されます。会社の負担が増える選択なので、会社の同意が必要です。早く口座の残高を増やしたい人や、住宅の購入に CPF を使いたい人が検討します。承認までの日数や、後から取り消せるかどうかは公式情報で確認できなかったため、申請の前に CPF Board に確かめてください。

3つの口座と使いみち

CPF の口座と利率(利率は2026年10〜12月)
口座主な使いみち利率(年)
OA(Ordinary Account)住宅の購入、住宅ローンの返済など2.5%
SA(Special Account)老後のための貯蓄。55歳で RA(Retirement Account)に切り替わる4%
MA(MediSave Account)入院費、認められた医療保険の保険料4%

拠出されたお金は、年齢ごとに決まった割合で3つの口座に分けられます。35歳以下の場合、拠出の合計のうち約62%が OA、約16%が SA、約22%が MA に入ります。年齢が上がるほど、SA と MA の割合が大きくなります。

  • 利率は四半期ごとに見直される。SA・MA・RA の「最低4%」は2027年12月31日まで延長されている
  • 残高の合計のうち最初の S$60,000(OA は S$20,000 まで)には、追加の利子がつく
  • PR になると、公的な医療保険 MediShield Life に自動で加入する。保険料は MA から払える

自由に引き出せるお金ではない

CPF は自分の口座にたまりますが、使いみちが決まっていて、ふだんの生活費には使えません。PR を取るかどうかを考えるときは、「手取りは減るが、会社の拠出の分だけ資産は増える。ただし使える場面は限られる」と理解しておくとよいでしょう。

所得税は少し軽くなる

本人が拠出した CPF(法律で決まっている分)は、所得税の計算で所得から引くことができます(CPF Relief)。会社の拠出は本人の控除にはなりません。控除には全体で年 S$80,000 の上限があります。

所得税・手取りを計算する →年収から所得税の額を計算できます。CPF の本人の拠出は「そのほかの控除」に入れてください。

日本に帰るとき:PR をやめれば引き出せる

CPF の口座を閉じて残高を受け取れるのは、シンガポールの国民でも PR でもなくなったときです。日本人の場合は、PR を放棄することが条件になります。PR を持ったまま日本に帰っても、口座は閉じられません。

  • PR の放棄が完了すれば、口座を閉じて残高を自分の銀行口座に移せる
  • 自分で手続きをしなくても、放棄の翌月には口座が自動で閉じられ、CPF の利子がつかなくなる
  • Singpass がある人はオンラインで申請できる(最も早い方法)
  • 出国後に Singpass なしで申請する場合は、書類を郵送する。シンガポールの在外公館での署名の立ち会いか、公証人の認証とアポスティーユが必要になる
  • 主な書類:パスポート、ICA の放棄のレター、入国許可(Form 5)か再入国許可(Form 7)、銀行口座の書類
  • 口座を閉じると、MediShield Life などの制度からも外れる

手続きは出国の前に

CPF Board は、シンガポールを離れる前に口座を閉じて残高を移すよう強く勧めています。出国後は書類の証明に手間と費用がかかります。CPF を住宅の購入に使っている場合の扱いや、受け取るお金の日本での税金は、この記事では確認できていません。CPF Board と税理士に確認してください。

シンガポールで退職・帰国するときの手続き →パスのキャンセル、税務清算、日本に戻った後の手続きをまとめています。

PR を考えている人が確認しておくこと

  • PR を取ると、3年目以降は月給の20%(55歳以下、月 S$1,600 まで)が手取りから減る
  • 会社の拠出(17%)は給与とは別に口座に入る。会社の人件費が増えるため、昇給の話し合いに影響することがある
  • 現地の国民・PR 向けの求人の給与は、CPF を引く前の額で書かれている
  • CPF は帰国のときに PR を放棄すれば受け取れるが、PR を持っている間は自由に引き出せない
シンガポールの永住権(PR)の基本 →申請できる人、申請の流れと費用、取得後の義務をまとめています。

よくある質問

+EP や S Pass で働く日本人も CPF に入りますか?

入りません。CPF の対象はシンガポールの国民と永住者(PR)だけで、EP・S Pass などで働く外国人は、希望しても拠出できません。給与から CPF が引かれることもありません。

+永住権を取ると、手取りはどれくらい減りますか?

55歳以下の場合、給与から引かれる本人の分は1年目5%、2年目15%、3年目以降20%です(月の賃金 S$8,000 まで)。月給 S$6,000 なら、1年目 S$300、2年目 S$900、3年目以降 S$1,200 が毎月引かれます。

+会社はいくら拠出しますか?

55歳以下の場合、1年目4%、2年目9%、3年目以降17%です。給与とは別に会社が払い、本人の CPF 口座に入ります。

+日本に帰るとき、CPF は引き出せますか?

PR を放棄して、国民でも PR でもなくなれば、口座を閉じて残高を自分の銀行口座に移せます。PR を持ったままでは閉じられません。CPF Board は、出国の前に手続きを済ませるよう勧めています。

+CPF の拠出に上限はありますか?

月の賃金は S$8,000 までが対象です(2026年1月から)。賞与を含めた年間の上限は S$102,000 です。

+PR 1年目からフルの料率にできますか?

会社と本人が一緒に CPF Board に申請して承認されれば、できます。会社も本人もフルにする方法と、会社だけフルにする方法があります。

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