シンガポールで働く日本人の出産・育児の休暇:子どもの国籍で変わる制度と、出産後の手続き
最終確認:2026年10月1日
シンガポールには手厚い出産・育児の休暇がありますが、その多くは「子どもがシンガポール国民であること」が条件です。夫婦とも日本人の場合、使える休暇は雇用法で決まっている最低限のものになります。この記事では、MOM(人材開発省)、MSF(社会・家族開発省)、ICA(入国管理庁)の公式情報と雇用法の条文をもとに、子どもの国籍ごとの違いと、出産後に必要な手続きを整理します。
決め手は「子どもの国籍」。親の国籍やパスは問われない
政府が費用を負担する休暇は、どれも子どもがシンガポール国民であることが条件です。親本人の国籍や就労パスの種類は条件に入っていません。EP や S Pass で働く日本人でも、配偶者がシンガポール人で子どもがシンガポール国民なら対象になります。反対に、子どもが日本国籍だけの場合は、雇用法で決まっている休暇が対象です。
| 休暇 | 子どもがシンガポール国民 | 子どもが外国籍(日本国籍など) |
|---|---|---|
| 出産休暇(母) | 16週(有給) | 12週(最初の8週が有給、残り4週は無給) |
| 父親休暇 | 4週(有給) | 法律で決まった休暇はない |
| 両親で分け合う休暇(Shared Parental Leave) | 両親の合計で10週(2026年4月1日以降に生まれた子) | 対象外 |
| 育児休暇(7歳未満) | 年6日(父母それぞれ) | 年2日(父母それぞれ。子ども1人につき合計14日まで) |
| 延長育児休暇(7〜12歳) | 年2日 | 対象外 |
| 無給の乳児ケア休暇(2歳未満) | 年12日 | 対象外 |
| ベビーボーナス(給付金) | 対象 | 対象外 |
会社独自の制度を確認する
法律は最低限の基準です。子どもの国籍に関係なく16週の出産休暇や父親休暇を出している会社もあります。妊娠がわかったら、まず雇用契約と就業規則で自分の会社の制度を確認してください。
子どもが外国籍の場合の出産休暇:12週
- 対象:雇用法の対象者(国籍を問わず、管理職も含む)で、出産の前にその会社で3か月以上続けて働いている人
- 期間:12週。最初の8週は有給(会社が通常の給与を支払う)、最後の4週は無給
- 有給になる条件:3か月以上の勤務、出産時に存命の子どもが2人未満、休みに入る1週間以上前に会社へ通知していること
- 通知:休みに入る1週間以上前に開始日を伝え、出産したらできるだけ早く出産日を伝える。通知を怠ると、受け取れる給与が半分になることがある
- 双子などは1回の出産として数える(休暇は増えない)
休暇の取り方
| 内容 | |
|---|---|
| 標準(会社と特に決めない場合) | 出産の4週間前から、12週を続けて取る |
| 会社と合意した場合 | 開始は出産の4週間前から出産日までの間で選ぶ。最初の8週は続けて取り、残りの4週は出産から12か月以内に分けて取れる |
会社は、出産後の最初の4週間は働かせてはいけません。休暇中に別の会社で働くと、給付を失うことがあります。退職すると、残りの出産休暇とその給与は受けられなくなります。
子どもがシンガポール国民の場合の出産休暇:16週
- 条件:子どもがシンガポール国民であること、出産の前に3か月以上続けて働いていること、休みに入る4週間前までに会社へ通知すること
- 給与:会社が通常どおり支払う。第1子・第2子は最初の8週を会社が負担し、残りの8週は政府が会社に払い戻す(4週あたり S$10,000 まで)
- 取り方:出産の4週間前から続けて16週。会社と合意すれば、最初の8週を続けて取り、残りの8週を出産から12か月以内に分けて取れる
- 出生時にシンガポール国民でなくても、生後12か月以内に国民になれば、残りの分を政府の制度で取れる
父親の休暇と、両親で分け合う休暇
| 子どもがシンガポール国民 | 子どもが外国籍 | |
|---|---|---|
| 父親休暇 | 4週(2025年4月1日以降に生まれた子)。子どもの母親と婚姻していることが条件。政府の払い戻しは週 S$2,500 まで | 法律で決まった休暇はない |
| 両親で分け合う休暇 | 両親の合計で10週(2026年4月1日以降に生まれた子)。最初は半分ずつ割り当てられ、出生から12か月以内に取る | 対象外 |
子どもが外国籍の場合、MOM は「会社独自の父親休暇があるかを雇用主に確認する」よう案内しています。制度がなければ、年次有給休暇を使うことになります。出産の時期が近づいたら、早めに上司と休みの計画を相談しておきましょう。
有給休暇・病気休暇の日数を計算する →勤続年数から、雇用法で決まっている年次有給休暇の最低日数がわかります。育児休暇:子どもが外国籍なら年2日
- 7歳未満の子どもがいて、その会社で3か月以上働いている人は、年2日の有給の育児休暇を取れる(雇用法)
- 父母それぞれに2日ずつ。子どもが何人いても年2日で、子ども1人につき合計14日まで
- その年のうちに使わなければ消え、翌年への繰り越しや買い取りはない
- 子どもがシンガポール国民の場合は年6日(7歳未満)。7〜12歳は年2日の延長育児休暇、2歳未満は年12日の無給の乳児ケア休暇もある
妊娠中・出産休暇中の解雇からの保護
- 出産休暇中に解雇を通知することは、法律で禁止されている
- 妊娠中に十分な理由なく解雇された場合や、整理解雇された場合、会社は本来受け取れたはずの出産休暇の給与を支払わなければならない
- この保護を受ける条件:解雇の通知を受ける前に、その会社で3か月以上働いていることと、医師から妊娠の証明を受けていること
- 解雇に納得できないときは、TADM(労使紛争の調停機関)に申し立てられる。期限は出産から2か月以内
- 出産休暇を与えない、給与を払わないなどの会社には、S$5,000 以下の罰金か6か月以下の禁錮、またはその両方が科される
これらの保護は、国籍に関係なく雇用法の対象者に適用されます。妊娠がわかったら、医師の証明をもらい、書面(メール)で会社に伝えておくと、あとで保護を受けるときの記録になります。
シンガポールで出産したあとの手続き(子どもが外国籍の場合)
- 出生登録:LifeSG から登録する。法律上の期限は出生から42日以内(手数料 S$18)。MOM は14日以内の登録を案内しているので、早めに済ませる
- 子どものパスポート:在シンガポール日本国大使館で、出生届と合わせて手続きする
- 子どもの DP(Dependant's Pass):親の会社が申請する。出生から6週間以内に、パスポートを用意して申請する
- パスポートが間に合わないとき:パスポートを申請中である証明で DP を申請でき、Special Pass(一時的な滞在の許可)の延長を依頼できる
シンガポール国民でない新生児には、出生から42日間の Special Pass が出たものとして扱われます。42日を過ぎて手続きをしていないと、入国管理法の違反になります。子どもの DP を申請できるのは、固定月給が S$6,000 以上の EP・S Pass 保持者です。これに届かない場合の子どもの滞在資格は公式情報で確認できなかったため、妊娠中に会社と MOM に確認してください。
日本側の手続きも忘れずに
海外で生まれた子どもの出生届には期限があります。日本国籍の留保が関わる場合もあるため、出産の前に在シンガポール日本国大使館の案内を確認しておきましょう。
就労パスと妊娠・出産
Work Permit(単純労働向けの許可)には、妊娠・出産についての制限があります。MOM の案内では、この制限は Work Permit 保持者のものとして書かれており、EP・S Pass については挙げられていません。EP・S Pass で働く人が妊娠・出産を理由にパスを失うという定めは、公式情報では見当たりませんでした。
妊娠がわかったら確認すること
- 会社の出産休暇・父親休暇の制度(法律より手厚いか)
- 入社から3か月たっているか(有給の出産休暇の条件)
- 会社の医療保険が、妊婦健診や出産の費用を対象にしているか
- 休みに入る日を、1週間以上前(できれば早め)に書面で会社に伝える
- 子どもの DP の条件(固定月給 S$6,000 以上)を満たしているか
- 出生登録・パスポート・DP の順番と期限
よくある質問
+EP や S Pass で働く外国人も、出産休暇を取れますか?
取れます。雇用法の対象者で、出産の前に3か月以上続けて働いていれば、国籍やパスの種類に関係なく12週の出産休暇があります。最初の8週が有給、残り4週は無給です。
+16週の出産休暇は、日本人でも取れますか?
16週の出産休暇は、子どもがシンガポール国民であることが条件です。親の国籍は問われないので、配偶者がシンガポール人で子どもがシンガポール国民なら対象になります。子どもが日本国籍だけの場合は12週です。
+子どもが日本国籍の場合、父親休暇はありますか?
法律で決まった父親休暇はありません。会社独自の制度があるかを確認し、なければ年次有給休暇を使うことになります。
+妊娠中に解雇されることはありますか?
出産休暇中の解雇の通知は禁止されています。妊娠中に十分な理由なく解雇された場合や整理解雇された場合、会社は出産休暇の給与を支払う義務があります(3か月以上の勤務と、医師による妊娠の証明が条件)。
+シンガポールで生まれた子どもの滞在資格はどうなりますか?
外国籍の新生児には、出生から42日間の一時的な滞在の許可が出たものとして扱われます。その間に出生登録をし、パスポートを用意して、親の会社が DP を申請します。
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