EP・S Pass が通らないとき:却下の理由、アピール(再審査)、再申請
最終確認:2026年10月4日
シンガポールの EP や S Pass は、内定をもらっても申請が却下されることがあります。最低月給は段階的に引き上げられ、EP には2023年9月から点数制の審査(COMPASS)が加わりました。この記事では、MOM(人材開発省)の公式情報をもとに、審査で見られる点、却下の理由の確かめ方、会社が出すアピール(再審査)の条件と期限、本人にできることを整理します。申請全体の流れは別の記事にまとめています。
「厳しくなった」と言われる背景
MOM は審査の基準を毎年のように見直しています。却下の割合を示す公式の数字は見当たりませんが、ここ数年で次のような変更が続いており、同じ給与・同じ経歴でも以前より通りにくくなる場合があります。
| 時期 | 変更の内容 |
|---|---|
| 2023年9月1日 | EP に COMPASS(点数制の審査)が加わり、2段階の審査になる。更新は2024年9月1日以降に満了するパスから |
| 2025年1月1日 | EP の最低月給が S$5,000 → S$5,600(金融業は S$5,500 → S$6,200)。更新は2026年1月1日から |
| 2025年9月1日 | S Pass の最低月給が S$3,300 に。S Pass の levy(会社が払う雇用税)が全業種で月 S$650 に統一 |
| 2027年1月1日(予定) | EP の最低月給が S$6,000、S Pass が S$3,600 に。更新は2028年1月以降に満了するパスから |
最低月給は、EP は現地の専門職・管理職(PMET)、S Pass は準専門職・技術職(APT)の給与の上位3分の1を基準に決められ、年齢が上がるほど高くなります。MOM は S Pass の最低額が2030年ごろに S$4,000〜4,500 程度になる見込みとしています。年齢ごとの金額は、チェッカーで確かめてください。
EP・S Pass の最低月給チェッカー(年齢別) →年齢と業種から、申請に必要な最低月給がわかります。審査で見られること
EP:最低月給と COMPASS の2段階
EP は、まず最低月給を満たしているか(1段階目)、次に COMPASS で40点以上取れるか(2段階目)で審査されます。COMPASS は、給与(C1)、学歴(C2)、社内の国籍の多様さ(C3)、会社の現地雇用(C4)の4つの基本項目と、人手不足の職種(C5)・国の重点分野(C6)の加点で点数をつけます。
- COMPASS が免除されるのは、固定月給 S$22,500 以上、海外からの社内転勤(intra-corporate transferee)、1か月以内の仕事の場合
- 学歴で点数を取る場合は、申請と一緒に学歴の検証書類(verification proof)を出す必要がある
- C3・C4 は会社側の条件なので、同じ人でも会社によって点数が変わる
S Pass:最低月給と会社の人数枠
S Pass には COMPASS はありませんが、会社ごとに雇える人数の上限(quota)があります。サービス業は会社の従業員全体の10%、建設・製造・造船・プロセスは15%です。本人の条件を満たしていても、会社の枠が足りなければ通りません。
会社の求人広告(FCF)
多くの場合、会社は申請の前に、政府の求人サイト MyCareersFuture に14日以上続けて求人広告を出す必要があります。MOM のシステムは、広告の要件を満たさない EP の申請を受け付けません。差別的な広告や、実際の仕事と違う内容の広告にもとづく申請は却下されます。広告の決まりについては申請の流れの記事を見てください。
EP・S Pass の申請の流れ →求人広告の14日間、本人が用意する書類、審査の日数、IPA までを順番にまとめています。MOM が示している却下の理由
却下の理由と、次にどうすればよいかは、会社が使う申請システム(EP eService)の「rejection advisory」に示されます。MOM の案内から読み取れる主な理由は次のとおりです。
| 却下の理由 | 直す方法の例 |
|---|---|
| 固定月給が最低月給に届かない(EP・S Pass) | 給与を見直し、基準を満たす |
| COMPASS の点数が40点に届かない(EP) | 給与などの条件を見直し、点数を満たす |
| 会社の S Pass の人数枠が足りない | 会社の枠に空きができてから |
| 申告した学歴と検証書類の内容が合わない、入力ミスがある | 誤りを直す |
| 求人広告の要件を満たしていない | 要件を満たす広告を出す |
| 会社の税金(IRAS)の問題 | 会社が税務の問題を解決する |
MOM は、固定の手当が月給の大部分を占める EP の申請も却下することがあるとしています。毎月変わらない手当は、基本給に含めて申告するよう案内されています。最低月給を満たすために手当を多く積んでいるような場合は注意が必要です。
却下されたら:アピール(再審査)の条件と期限
却下に対しては、再審査を申し立てる「appeal(アピール)」ができます。ただし申し立てられるのは会社側だけです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申し立てる人 | 申請した会社、または会社が任命した職業紹介事業者(EA)だけ |
| 本人からの申し立て | 受け付けられない(問い合わせも不可) |
| 期限 | 却下から3か月以内。過ぎたら新規の申請になる |
| 方法 | EP eService(myMOM Portal から利用) |
| 審査の期間 | 85% が6週間以内 |
| 結果の確認 | 会社が EP eService で進み具合と結果のレターを確認 |
新しい情報がなければ結果は変わらない
MOM は「rejection advisory に書かれた問題に対応できる場合だけアピールする」よう案内し、新しい情報がなければ結果は変わらないとしています。同じ内容で出し直しても通りません。給与を上げる、誤りを直すなど、却下の理由を解消してから申し立てます。
- 追加の書類は、求められた場合だけ出す。最低月給や COMPASS の基準を満たした、S Pass の枠に空きができた、学歴の不一致や広告・税金の問題を解決した、という場合は書類は不要
- 入力ミスや学歴の不一致が原因で、うっかりした誤りなら、直したうえでアピールできる
- アピールに回数の上限があるか、手数料がかかるかは、公式の案内では確認できなかった
アピールと新規の再申請の違い
| アピール(再審査) | 新規の申請 | |
|---|---|---|
| いつ | 却下から3か月以内 | 3か月を過ぎた場合など |
| 向いている場合 | 却下の理由を直せば基準を満たせるとき(給与の見直し、入力ミスの訂正など) | 3か月を過ぎた、または条件を大きく変える場合 |
| 手続きする人 | 会社・EA | 会社・EA |
MOM がはっきり書いているのは「3か月を過ぎたら新規の申請になる」という点だけで、どちらを選ぶべきかの細かい基準や、新規に出し直すまでの待ち期間は公式の案内では確認できませんでした。どちらにするかは、rejection advisory の内容を見たうえで会社が判断します。条件が変わる場合は、出し直す前に SAT で見込みを確かめてもらいましょう。
本人にできること
申請もアピールも会社の手続きで、MOM は本人からの問い合わせを受け付けていません。そのうえで、本人にできることは次のとおりです。
- 申請の状況を自分で確かめる:MOM の「Check work pass and application status」は、ログイン不要で、生年月日とパスポート番号(または FIN)を入れると、直近6か月の申請の状況がわかる
- 却下の理由を会社に聞く:rejection advisory は会社のシステムに出るので、理由と、アピールするかどうかを会社に確認する
- 条件を見直す相談をする:理由が給与や COMPASS の点数なら、最低月給と点数を自分でも確かめ、給与の条件を会社と話し合う
- 書類を直す:学歴の不一致や入力ミスが理由なら、正しい情報と書類を会社に渡し直す
- 滞在の予定を見直す:MOM は、S Pass の申請中に訪問者として滞在していても、結果待ちを理由に訪問パスは延長されず、期限が来たら帰国するよう案内している
MOM の案内では、働き始められるのは、パスが発行されて通知レター(notification letter)が届いてからです。申請中や却下の後に、訪問者として滞在したまま働き始めないでください。
却下を避けるために:申請前の確認
- MOM の Self-Assessment Tool(SAT)で見込みを確かめる。無料で誰でも使え、適格と出れば約90%の確率でパスが出る、と MOM は案内している
- SAT は S Pass の人数枠や本人の過去の経歴を考慮せず、COMPASS の点数も実際と違うことがある。結果は保証ではない
- 年齢に合った最低月給を満たしているか、次の更新のときの基準(2027年からの引き上げ)も満たせるかを確かめる
- EP なら、COMPASS の点数のおおよその見込みを確かめる。学歴で点数を取る場合は検証書類が必要
- 学歴・職歴・過去の入国歴など、会社に渡す情報は正確に。書類と申請の内容が合っているかを自分でも見る
うその申告をするとどうなるか
通りやすくするために学歴や給与などを偽ると、却下では済みません。MOM によると、就労パスの申請でうその申告をして有罪になると、S$20,000 以下の罰金か2年以下の禁錮、またはその両方が科されます。申請した本人はシンガポールで働くことを永久に禁じられ、会社も外国人を雇う資格を止められます。
MOM は学校のデータベースとの照合や、第三者機関の検証書類、データ分析で学歴を確かめており、偽の学歴を申告した外国人が禁錮刑を受け、永久に就労を禁じられた例を公表しています。会社や職業紹介事業者から事実と違う申告を勧められても、応じないでください。
シンガポールの就労ビザ(就労パス)の種類と違い →EP・S Pass のほか、本人が申請できる ONE Pass など、ほかのパスの条件も比べられます。よくある質問
+EP や S Pass が却下されたら、自分でアピールできますか?
できません。MOM は、申請した会社か、会社が任命した職業紹介事業者からのアピールと問い合わせだけを受け付けており、本人からは受け付けないとしています。却下の理由とアピールするかどうかは会社に確認してください。
+アピールの期限と、結果が出るまでの期間は?
却下から3か月以内に、会社が EP eService から申し立てます。85% が6週間以内に処理されます。3か月を過ぎると、新規の申請になります。
+同じ内容でアピールすれば通ることはありますか?
MOM は、新しい情報がなければ結果は変わらないとしています。給与の見直し、入力ミスや学歴の不一致の訂正など、却下の理由に対応できる場合にだけアピールするよう案内されています。
+却下の理由はどこでわかりますか?
会社が使う EP eService の rejection advisory に、理由と次にとるべき対応が示されます。本人は MOM に問い合わせられないので、会社に聞いてください。申請の状況だけなら、MOM の「Check work pass and application status」で生年月日とパスポート番号から確かめられます。
+シンガポールの就労ビザは厳しくなったのですか?
却下率の公式の数字はありませんが、基準は引き上げが続いています。EP は2023年9月から COMPASS が加わり、最低月給は2025年1月に S$5,600 に上がりました。2027年1月からは EP S$6,000、S Pass S$3,600 にさらに上がる予定です。
+申請前に通るかどうか確かめる方法はありますか?
MOM の Self-Assessment Tool(SAT)は無料で誰でも使えます。適格と出れば約90%の確率でパスが出るとされていますが、S Pass の人数枠や本人の過去の経歴は考慮されないため、保証ではありません。
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