EP・S Pass の申請の流れ:内定から入社までの手続き、必要書類、審査にかかる期間
最終確認:2026年10月1日
シンガポールの会社から内定をもらっても、就労パスが出るまでは働けません。申請するのは会社で、本人は書類を渡して結果を待つ立場になります。それでも、どの段階にどれくらいかかるのか、自分は何を用意するのかを知っておくと、退職や引っ越しの日程を決めやすくなります。この記事では、MOM(人材開発省)の公式情報をもとに、内定から入社までの流れを順番に整理します。
全体の流れと期間の目安
| ステップ | 誰がするか | 期間・期限の目安 |
|---|---|---|
| 求人広告(MyCareersFuture) | 会社 | 連続14日以上(免除の場合あり) |
| 内定、申請への同意、書類の準備 | 本人と会社 | — |
| 学歴の検証(必要な場合) | 会社 | 大半は14営業日以内 |
| 申請(EP eService) | 会社または職業紹介事業者 | 申請手数料 S$105 |
| 審査 | MOM | 10営業日以内に処理、または連絡 |
| 承認(IPA のレター) | MOM → 会社 → 本人 | IPA の期限:EP 6か月、S Pass 60日 |
| 入国、パスの発行 | 本人、会社 | 発行の手続きは即時 |
| 通知レターが出て勤務開始 | 本人 | 通知レターは発行日から1か月有効 |
| 指紋・写真の登録(必要な場合) | 本人 | EP は発行から2週間以内、S Pass は1週間以内 |
| パスカードの配達 | MOM | 登録から5営業日以内 |
MOM は「内定から入社まで合計で何日」という数字を出していません。各段階の目安を足すと、求人広告が必要な会社では、広告の14日以上と審査の10営業日で、IPA が出るまで早くても1か月前後になります。広告が免除され、学歴の検証もいらない場合は、審査の10営業日(約2週間)が中心です。
退職の日は IPA が出てから決める
審査の「10営業日以内」は、結果が必ず出る日数ではなく、「処理されるか、途中経過の連絡がある」という目安です。追加の書類を求められると長引きます。いまの勤め先に退職を伝える日や引っ越しの日は、IPA が出てから決めると安全です。
1. 申請するのは会社。本人は申請できない
EP も S Pass も、申請できるのは雇用主(会社)か、会社が任命した職業紹介事業者(Employment Agent)だけです。本人が自分で申請することはできません。申請は MOM の「EP eService」というオンラインのシステムで行います。
- 本人がすること:会社に書面で申請の同意を出す。自分の情報と書類を会社に渡す
- MOM は、本人が記入して会社に渡す用紙(Candidate's form)を公開している。パスポート情報、職歴(会社名・職種・期間・最後の固定月給)、学歴、過去の入国拒否や有罪判決などの申告事項を書く
- シンガポールに登記のない会社で働く場合は、シンガポールの会社にスポンサーになってもらって申請する。この場合の審査は、大半が6週間以内
2. 申請の前に:会社は求人広告を14日以上出す
EP・S Pass を申請する会社は、先に政府の求人サイト MyCareersFuture に求人を出し、応募者を公正に検討しなければなりません(Fair Consideration Framework)。EP と S Pass で同じルールです。
- 掲載は連続14日以上。MOM は、この掲載期間中に内定を出さないよう求めている
- 掲載が終わってから3か月を超えた広告は、申請に使えない
- 給与の幅は、上限が下限の2倍まで(例:下限 S$4,500 なら上限 S$9,000 まで)
- 差別的な広告や、実際の仕事と違う内容の広告にもとづく申請は却下される
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 会社の規模 | 従業員が10人未満 |
| 給与 | その職の固定月給が S$22,500 以上 |
| 期間 | 1か月以内の短期の職 |
| 社内異動 | 社内の異動や企業内転勤で埋める職 |
日系の小さな会社(従業員10人未満)では免除になることが多い一方、それ以上の規模の会社では、内定の前後に2週間以上の広告期間が入ります。選考が終わっているのに申請まで時間がかかるときは、この広告期間が理由のことがあります。
3. 本人が用意する書類
- パスポートの個人情報のページ
- 学歴の証明(卒業証明書など)。英語以外の書類は、原本と英訳を1つのファイルにまとめて出す。翻訳は翻訳会社のものでよい
- パスポートの名前がほかの書類と違う場合は、説明の手紙と裏づけの書類
- 医療職・弁護士など特定の職業は、それぞれの専門団体の書類
日本の大学の卒業証明書は、大学に英文の証明書を発行してもらうと英訳の手間が省けます。S Pass では、申請の時点でパスポートの残りの期間が7か月以上必要です。S Pass の有効期間はパスポートの期限の1か月前までに制限されるため、残りが短い人は先にパスポートを更新しておきましょう。
学歴の検証(verification proof)
EP の審査(COMPASS)で学歴の点数を取るには、卒業証明書に加えて、その学歴が本物であることを第三者が確かめた「検証結果」を出す必要があります。学歴の点数がなくても合格点に届く場合は、出さなくてかまいません。S Pass は学歴の申告が任意で、申告する場合、MOM のリストにない学校の資格には検証結果が必要です。
- 認められる方法:MOM が選んだ調査会社(バックグラウンド・スクリーニング会社)の検証結果、政府や学校の公開の検証サイト、専門団体のレター、OpenCerts のデジタル証明書
- 認められないもの:卒業証書そのもの、公証人の認証を受けた書類、自分で訳した証明
- 日数:調査会社の検証は、大半が14営業日以内
- 費用:1件あたり S$30〜60 程度(MOM の2023年の発表)
- 検証は1回でよく、更新や転職のたびにやり直す必要はない(2023年9月より前の検証結果は使えない)
検証の費用をどちらが払うか
MOM は「学歴が本物かを確かめる責任は雇用主にある」としていますが、費用を会社と本人のどちらが負担するかまでは決めていません。内定のときに会社に確認してください。
4. 手数料
| EP | S Pass | DP(家族) | |
|---|---|---|---|
| 申請手数料(申請のとき) | S$105 | S$105 | S$105 |
| 発行手数料(発行のとき) | S$225 | S$100 | S$225 |
手数料は、申請の手続きの中で会社(または職業紹介事業者)が支払います。S Pass では、このほかに会社が毎月 S$650 の雇用税(levy)を払い、医療保険にも加入させる義務があります。雇用税はパスが発行された日からかかります。
5. 審査にかかる期間と、進み具合の確かめ方
| 申請の種類 | 目安 |
|---|---|
| EP・S Pass(オンライン申請) | 10営業日以内に処理、または途中経過の連絡 |
| シンガポールに登記のない会社(スポンサー経由の EP) | 大半は6週間以内 |
| 家族の DP | 大半は3週間以内 |
| 却下された後の再審査 | 85% が6週間以内 |
申請中の本人が進み具合を確かめるには、MOM の「Check work pass and application status」を使います。ログインは不要で、生年月日とパスポート番号を入れると、過去6か月以内に出された申請の状況がわかります。
- MOM への問い合わせは、申請した会社(または職業紹介事業者)からしか受け付けてもらえない。追加書類の依頼や却下の理由は、会社に聞く
- 申請の前には、MOM の Self-Assessment Tool(SAT)で通る見込みを確かめられる。無料で、本人も使える
- SAT は、S Pass の人数枠や本人の過去の経歴までは見ないので、結果は保証ではない
6. 承認されたら:IPA のレター
承認されると、会社に IPA(In-Principle Approval)のレターが出ます。IPA は、シンガポールに入国するための1回限りの入国ビザを兼ねています。入国後に健康診断が必要かどうかも、このレターに書かれています。
- IPA の期限:EP は6か月、S Pass は60日。この間に入国して、パスを発行してもらう
- 期限に間に合わない場合は、会社が EP eService から延長を依頼できる
- 健康診断は全員ではなく、IPA に指示がある人だけ。シンガポールに着いてから受ける
S Pass は期限が60日と短いので、承認が出たらすぐに渡航の日程を会社と決めましょう。
7. 入国からパスの発行、勤務開始まで
パスの発行は、本人がシンガポールにいる状態で、会社が EP eService で手続きします。処理は即時で、発行されると通知レター(notification letter)がメールで届きます。働き始められるのは、この通知レターが出てからです。
- 通知レターは発行日から1か月有効。パスカードを待つ間も、このレターで働けて、出入国もできる(EP・S Pass とも同じ)
- 発行のときには、シンガポールの住所と、カードの配達先・受け取る人(3人まで指定できる)を入力する
- 指紋・写真の登録が必要な人は、EP は発行から2週間以内、S Pass は1週間以内に予約して行く
- パスカードは、登録から5営業日以内に配達される
8. 却下されたとき:再審査
- 再審査を申し立てられるのは、申請した会社(または職業紹介事業者)だけ。本人からの申し立ては受け付けられない
- 期限:却下の通知から3か月以内
- 期間:85% が6週間以内に処理される
- 却下の通知には理由が示される。再審査は、指摘された点を直したうえで行う
MOM が挙げている却下の理由には、固定月給が基準に届かない、COMPASS の点数が足りない、会社の S Pass の人数枠が足りない、学歴の内容が合わない、求人広告の要件を満たしていない、などがあります。月給が理由のときは、最低月給を確かめたうえで会社と条件を話し合うことになります。
EP・S Pass の最低月給を確かめる →年齢と業種から、申請に必要な最低月給がわかります。9. パスの有効期間と更新
| 内容 | |
|---|---|
| 初回 | 最長2年 |
| 更新 | 最長3年 |
| 更新を申請できる時期 | 期限の6か月前から |
| 更新の審査 | 10営業日以内に処理、または連絡 |
どちらも「最長」で、実際の期間は MOM が決めます。更新も会社が申請します。期限を過ぎると更新ではなく新規の申請になるため、期限が近づいたら会社に早めに声をかけましょう。
10. 家族のパスも一緒に申請できる
- 家族の DP(配偶者・21歳未満の未婚の子)は、本人の申請と同時にも、後からでも出せる。申請するのは本人の会社
- 条件は固定月給 S$6,000 以上(EP・S Pass 共通)。親を LTVP で呼べるのは S$12,000 以上の場合だけ
- 手数料は申請 S$105、発行 S$225。審査は大半が3週間以内
11. 申告は正確に:うその申告の罰則
申請に使われる職歴・学歴・過去の入国歴は、本人が会社に渡した情報です。就労パスの申請でうその申告をすると、S$20,000 以下の罰金か2年以下の禁錮、またはその両方が科されます。本人も、シンガポールで働くことを永久に禁じられます。会社任せにせず、内容を自分で確かめてから渡してください。
会社や職業紹介事業者が、採用の見返りとして本人から金銭を受け取ることも禁じられています。パスの取得と引き換えにお金を求められた場合は、応じないでください。
内定をもらったら確認すること
- 申請するパスの種類(EP か S Pass か)と、固定月給が最低月給を満たしているか
- 会社が求人広告を出す必要があるか。申請はいつごろになりそうか
- 学歴の検証が必要か。必要なら費用はどちらが払うか
- 卒業証明書(英文)とパスポートの残りの期間
- 会社の医療保険があるか、家族も対象か(EP では会社の義務ではない)
- 家族の DP を一緒に申請するか
- IPA が出てからの入国・入社の日程(S Pass は60日以内)
よくある質問
+EP の審査にはどれくらいかかりますか?
MOM の目安は、オンライン申請で「10営業日以内に処理、または途中経過の連絡」です。必ず10営業日で結果が出るという意味ではなく、追加の書類を求められると長引きます。シンガポールに登記のない会社のスポンサー経由の申請は、大半が6週間以内です。
+EP や S Pass を自分で申請できますか?
できません。申請できるのは雇用主か、雇用主が任命した職業紹介事業者だけです。本人は、申請への同意と必要な情報・書類を会社に渡します。
+申請の進み具合を自分で確認できますか?
MOM の「Check work pass and application status」で確認できます。ログインは不要で、生年月日とパスポート番号を入力します。くわしい状況や却下の理由は、申請した会社に聞いてください。
+IPA が出たら、すぐに働けますか?
働き始められるのは、入国後にパスが発行されて通知レターが出てからです。IPA は入国するための1回限りのビザを兼ねたレターで、EP は6か月、S Pass は60日の期限があります。
+却下されたら、もう一度申請できますか?
会社が、却下の通知から3か月以内に再審査を申し立てられます。85% が6週間以内に処理されます。本人からの申し立てはできません。却下の理由を直したうえで行います。
+卒業証明書は日本語のままで出せますか?
英語以外の書類は、原本と英訳を1つのファイルにまとめて出します。翻訳は翻訳会社のものでかまいません。大学に英文の卒業証明書を発行してもらう方法もあります。
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