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ビザなし入国・出張でシンガポールで働ける範囲:Work Pass Exempt Activities とリモートワークの注意点

最終確認:2026年10月4日

日本のパスポートなら、出張や旅行でシンガポールに入国するときにビザはいりません。ただし、入国のときに出る短期訪問パス(Short-Term Visit Pass)は働くためのものではなく、ICA(入国管理庁)は給与の有無にかかわらず就労や業務を禁じています。例外は、MOM(人材開発省)が「Work Pass Exempt Activities(就労パスが免除される活動)」として定めた一部の活動だけです。この記事では、MOM・ICA の公式情報と法律の条文をもとに、出張でできること・できないこと、MOM への通知、面接やリモートワークの扱いを整理します。

まず結論:短期訪問パスでは原則として働けない

ビザなし入国(短期訪問パス)でできること(MOM・ICA)
したいこと扱い手続き
会社の会議、取引先との打ち合わせ、社員旅行就労パスなしでできるMOM への通知は不要
研修・セミナー・カンファレンスへの参加、展示会の見学就労パスなしでできるMOM への通知は不要
セミナーの講師、展示会への出展、新しい設備の据付や試運転など決められた活動なら就労パスなしでできる(年90日まで)入国後・開始前に MOM へ通知
宗教・政治などに関わる講演、政府の支援がない報道Miscellaneous Work Pass が必要(最長60日)シンガポールの団体などが申請
シンガポールの会社で働く(短期・無給・研修を含む)就労パスが必要会社が EP・S Pass などを申請
日本の会社の仕事を滞在先でリモートでする公式の明確な説明が見つからない事前に MOM・ICA に確認

ICA は、短期訪問パスで滞在する人は「給与の有無にかかわらず、どのような就労・業務・職業にも従事してはならない」とし、例外は就労パスを持っている場合と Work Pass Exempt Activities だけだとしています。「短期だから」「無給だから」「お手伝いだから」という理由で働いてよいことにはなりません。

日本人のビザなし入国と滞在できる日数

ICA がビザを必要とする国・地域の一覧に、日本は入っていません。外務省は、観光・商用の目的で滞在が3か月以内ならビザは免除され、入国時に14〜30日間の滞在が認められると案内しています。何日滞在できるかは入国審査で決まり、ICA は国籍別の日数を公表していません。

  • 滞在の許可(e-Pass)はパスポートに押印されず、SG Arrival Card に書いたメールアドレスに届く。滞在できる最終日はこのメールで確認する
  • パスポートの残りの有効期間は6か月以上必要
  • 延長はオンラインで申請し、許可の残りが14日以下になってから出せる。延長が認められるか、何日認められるかは ICA の審査による
  • 延長の結果、入国から90日以上の滞在になる場合は S$40 の手数料がかかる
  • 許可された期間を超えて滞在すること(オーバーステイ)は処罰の対象

SG Arrival Card を忘れずに

旅行者は、到着日を含めて3日前から、ICA のウェブサイトか MyICA アプリで SG Arrival Card を出します。無料で、出さないと入国できないことがあります。ここに書く D/E 番号は、MOM への通知や滞在の延長でも使います。

シンガポールに着いてからやること →SG Arrival Card の出し方と、就労パスで入国したあとの手続きをまとめています。

出張でできること:MOM への通知がいらない活動

MOM は、次の活動なら短期訪問パスの期間中、MOM に知らせずに行えるとしています。日本の会社からの一般的な出張は、多くがここに当たります。

  • 会社の会議、社員旅行(corporate retreat)、取引先との打ち合わせに出る
  • 視察、研修、ワークショップ、セミナー、カンファレンスに参加者として出る
  • 展示会を来場者(trade visitor)として見る

条件として、シンガポールの会社と雇用契約や業務委託契約を結んでいないことが求められます。また MOM は、研修やワークショップで講師や話し手になる場合は、MOM への通知か Miscellaneous Work Pass が必要で、現場での実地研修(on-the-job training)を受ける場合は就労パスが必要だとしています。

MOM に通知すれば就労パスなしでできる活動(年90日まで)

次の活動は「Work Pass Exempt Activities」として、MOM に通知すれば就労パスなしで行えます。対象は限られていて、それぞれに細かい条件があります。

MOM への通知が必要な活動(主なもの)
活動主な条件・対象外
セミナー・カンファレンスの講師・司会など販売・宣伝が主な目的の催し、宗教・人種・政治に関わる催しは対象外。会場の設営、清掃、試験の監督や採点も対象外
展示会への出展主催者に登録した出展者として、公式の開場時間内に説明・実演・販売をする。ブースの設営・撤去や、夜市などの一時的な催しは対象外
新しいプラント・設備・業務に関する専門の作業設備の試運転・監査、機械の据付・解体・修理・保守、新しい業務の技術移転など、一般には手に入らない専門性が必要なもの。一般向けの販売、製造、内装工事は対象外
映画・テレビのロケ、ファッションショー俳優・モデル・監督・撮影スタッフ・カメラマンなど。結婚式の撮影などは対象外
公演政府などが支援する催し、または劇場・コンサートホールなどの公共の会場。バーやナイトクラブなどは原則対象外
報道政府や公的機関が支援するもの(イベントの取材、メディアツアーなど)
スポーツ政府や公的機関が支援する大会・練習。シンガポールの団体と雇用契約を結ぶ選手は対象外
ツアーの添乗外国の会社に雇われた添乗員が、ホテルの手配や国境の通過などを支える。観光ガイドは対象外
仲裁・調停宗教・人種・政治に関わらない案件

このほか、シンガポール国際商事裁判所(SICC)の判事・登録外国弁護士、カジノのジャンケット業務も対象です。

共通の条件

  • 入国する前に、その活動をすることが決まっている
  • 活動の期間中、有効な短期訪問パスを持っている
  • 入国した後、活動を始める前に MOM に通知する。通知せずに始めると違法になる
  • 職業によっては、シンガポールでの登録などほかの法律の条件も守る
  • 回数に制限はないが、合計で1暦年(1月〜12月)に90日まで(例:30日を3回)

1回の滞在でできる日数は、入国時に認められた短期訪問パスの期間で決まります。MOM は、Work Pass Exempt Activities をするための短期訪問パスの延長は認めないとしています。また、条件を満たしていても入国が保証されるわけではなく、入国できるかは他の旅行者と同じく入国審査で判断されます。

通知のしかた(e-Notification)

  1. シンガポールに着いて入国審査を通り、短期訪問パスを受ける(到着前には出せない)
  2. MOM の e-Notification で通知する。氏名・生年月日、パスポート番号と有効期限、SG Arrival Card の D/E 番号、短期訪問パスの期限、活動の種類、期間、仕事をする場所の住所を入力する
  3. 確認書(acknowledgement letter)を印刷し、活動の間は持ち歩く
  4. 期間を延ばすときは、元の通知の終了日より前に延長を出す。終了日を過ぎたら新しく通知し直す。延長しても合計は1暦年に90日まで

通知は送信後に修正できないため、間違えたときは正しい内容で出し直します。e-Notification では、その年にあと何日できるかも確認できます。

Miscellaneous Work Pass:宗教・政治に関わる講演や報道(最長60日)

Miscellaneous Work Pass は、短期の仕事のための就労パスです。MOM は、セミナーの講師、宗教関係者、記者などを例に挙げています。

Miscellaneous Work Pass の概要(MOM)
項目内容
対象宗教・人種・政治目的に関わるセミナーや集会の講師・司会など、宗教に関わる講話をする宗教関係者、シンガポール政府機関の支援がない取材をする記者・同行スタッフ
申請する人シンガポールの雇用主や団体(スポンサー)。本人は申請できない
期間最長60日。更新はできない
手数料S$175
審査期間多くは6週間以内(もっとかかる場合もある)
家族のパスなし

活動できるのは、承認のレターに書かれた会場と日程だけです。滞在のためには別に短期訪問パスも必要です。MOM は、承認が出てから入国するよう求めており、訪問中にパスの発行より先に短期訪問パスが切れても延長はできないとしています。

現地での面接・仕事探しと、働き始めるタイミング

短期訪問で入国して就職の面接を受けてよいかを明記した MOM・ICA の案内は、見つけられませんでした。MOM が通知なしでよいとしているのは、会社の会議や取引先との打ち合わせ、研修への参加などで、「面接」とは書かれていません。面接のための渡航を考えている場合は、事前に ICA や応募先の会社に確認してください。

はっきりしているのは、内定が出ても、就労パスが発行されるまでは働けないことです。法律(EFMA 第5条)は、有効な就労パスなしに雇用されることを禁じており、ここでいう「雇用」には無給の仕事や研修も含まれます。入社前の「お試し勤務」や研修も、パスが出る前はできません。

EP・S Pass の申請の流れ →内定から IPA、入国、パスの発行と勤務開始までの手続きと期間をまとめています。

日本の会社の仕事を、滞在中にリモートでしてもよい?

旅行や出張で滞在している間に、日本の会社の仕事をリモートで続けてよいかについて、MOM・ICA の明確な説明は見つけられませんでした。シンガポールには、いわゆるデジタルノマド向けのパスも見当たりません。公式に確認できたのは次の点です。

  • ICA:短期訪問パスで滞在する人は、給与の有無にかかわらず、どのような就労・業務・職業にも従事してはならない(就労パスか Work Pass Exempt Activities を除く)
  • MOM:DP(帯同家族のパス)などの滞在のパスを持ってシンガポールに住む人については、海外の会社や顧客のための仕事なら就労パスはいらないとしている。ただし、これは短期訪問パスの旅行者について書かれたものではない
  • MOM:就労パスはシンガポールの会社で働くためのもの。海外の会社の人が長くシンガポールに拠点を置くには、会社が駐在員事務所や現地法人をつくり、通常の就労パスで雇う必要がある
  • MOM:海外の会社の人がシンガポールでの事業の機会を探る場合は、短期訪問パスで、会社の会議や取引先との打ち合わせなどに年90日まで出られる

自己判断で「大丈夫」と考えない

旅行中のリモートワークが認められると書いた公式情報はありません。長く滞在して仕事をするつもりなら、事前に MOM や ICA に確認してください。会社の出張として行く場合は、会社の人事・法務にも確認しておくと安心です。

DP(帯同家族)の働き方 →DP で滞在する人が働くときのパス(DP-WP など)と注意点をまとめています。

シンガポールで長く働くなら:就労パスと ONE Pass

シンガポールに住んで働くには、原則として会社が EP や S Pass などの就労パスを申請します。月給が高い人や実績のある人には、本人が申請でき、転職しても取り直さなくてよい ONE Pass(Overseas Networks & Expertise Pass)もあります。

シンガポールの就労パスの種類と違い →EP・S Pass・DP・LTVP などの条件と最低月給を比べています。ONE Pass・PEP・EntrePass とは →本人が申請できる就労パスの条件と、通常の EP との違いをまとめています。

パスなしで働いた場合の罰則

就労パスなしで働くことは、働いた本人と雇った側の両方が罰せられます(EFMA:外国人雇用法 第5条)。

就労パスなしの就労の罰則(EFMA 第5条)
対象罰則
働いた本人S$20,000 以下の罰金、2年以下の禁錮、またはその両方
雇った側(1回目)S$5,000 以上 S$30,000 以下の罰金、12か月以下の禁錮、またはその両方
雇った側(2回目以降・個人)S$10,000 以上 S$30,000 以下の罰金と、1か月以上12か月以下の禁錮
雇った側(2回目以降・会社など)S$20,000 以上 S$60,000 以下の罰金

MOM は、Work Pass Exempt Activities を MOM に通知せずに行うことも違法だとしています。また、オーバーステイも処罰の対象です。「観光で入国しても働ける」「現金払いなら大丈夫」と誘う求人には注意してください。

出張・短期滞在の前に確認すること

  • SG Arrival Card を到着の3日前から出したか(無料。代行サイトは使わない)
  • パスポートの残りの有効期間が6か月以上あるか
  • 入国後に届く e-Pass のメールで、滞在できる最終日を確認したか
  • 予定している活動は、会議・研修参加・展示会の見学など、通知のいらないものか
  • 講師・出展・設備の作業などなら、入国後・開始前に MOM に通知したか(確認書を持ち歩く)
  • Work Pass Exempt Activities の日数が、その年の合計で90日を超えないか
  • シンガポールの会社との雇用契約や業務委託契約が絡んでいないか
  • 滞在中にリモートで仕事をする予定があるなら、事前に MOM・ICA に確認したか

よくある質問

+日本人はビザなしで何日シンガポールに滞在できますか?

日本のパスポートならビザはいりません。外務省は、観光・商用で3か月以内ならビザが免除され、入国時に14〜30日間の滞在が認められると案内しています。実際の日数は入国審査で決まり、メールで届く e-Pass に書かれます。

+出張で会議や打ち合わせに出るのに、就労パスや届け出は必要ですか?

いりません。MOM は、会社の会議、取引先との打ち合わせ、研修やセミナーへの参加、展示会の見学は、短期訪問パスの期間中、MOM に知らせずにできるとしています。シンガポールの会社と雇用契約や業務委託契約を結んでいないことが条件です。

+セミナーで講演する場合はどうなりますか?

講師・司会などは、MOM に通知すれば就労パスなしでできます(入国後・開始前に e-Notification で通知、年90日まで)。ただし、宗教・人種・政治に関わる催しや、販売・宣伝が主な目的の催しは対象外で、宗教・政治などに関わる講演は Miscellaneous Work Pass が必要です。

+短期訪問で入国して、内定先で先に働き始めてもよいですか?

できません。就労パスが発行されるまでは、無給の仕事や研修も含めて働けません。パスなしで働くと、本人に S$20,000 以下の罰金や2年以下の禁錮が科されることがあります。

+シンガポール旅行中に、日本の会社の仕事をリモートでしても問題ありませんか?

認められると書いた公式情報は見つかりませんでした。ICA は短期訪問パスでの就労や業務を広く禁じています。DP など滞在のパスを持つ人について MOM は「海外の会社の仕事なら就労パスは不要」としていますが、旅行者について同じ説明はありません。事前に MOM・ICA に確認してください。

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