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シンガポールに家族を連れて行くには:DP・LTVP の条件と申請の流れ

最終確認:2026年10月8日

シンガポールで働くことが決まったら、次に考えるのが家族のことです。配偶者や子どもを連れて行くには、本人の就労パスとは別に、家族それぞれのパスが必要です。家族のパスには条件があり、特に月給の基準を満たさないと申請できません。この記事では、MOM(人材開発省)と ICA(入国管理庁)の公式情報をもとに、誰がどのパスの対象になるか、月給の基準、申請の流れと費用、パスの期間と注意点を順に整理します。

結論:月給 S$6,000 以上なら、配偶者と子どもを呼べる

EP または S Pass を持つ人の家族には、MOM が DP(Dependant's Pass)か LTVP(Long-Term Visit Pass)を出します。どちらになるかは家族との関係で決まり、どちらも本人の月給が基準になります。

家族ごとのパスと月給の基準(EP・S Pass 保持者の場合)
家族パス本人の固定月給
法律上の配偶者DPS$6,000 以上
21歳未満の未婚の子(養子を含む)DPS$6,000 以上
事実婚の配偶者(common-law spouse)LTVPS$6,000 以上
21歳未満の未婚の継子LTVPS$6,000 以上
21歳以上で障害のある未婚の子LTVPS$6,000 以上
親LTVPS$12,000 以上(EP 保持者)
  • 基準は本人の「固定月給」。MOM は、世帯の合計収入ではなく本人の給与で判断すると明記している
  • スポンサーは、シンガポールに登記された会社(通常は本人の雇用主)
  • 申請するのは本人ではなく会社(または会社が指定した職業紹介事業者)
  • 兄弟姉妹、21歳以上の子(障害のある子を除く)、配偶者の親などは、上の表に含まれていない

ここでいう LTVP は MOM 発行のもの

シンガポール人・PR の家族が ICA に申請する LTVP とは別のものです。名前は同じでも、働くときの扱いなどが違います。シンガポール人・PR の配偶者の場合は「LTVP で働くための LOC と PLOC」の記事を見てください。

月給の基準:S Pass の人は届かないことが多い

DP・LTVP の基準は、EP でも S Pass でも同じ固定月給 S$6,000 以上です。EP の最低月給は一般の業種で S$5,600〜S$10,700(2027年1月以降の新規申請は S$6,000〜S$11,500)なので、EP の人の多くはこの基準を満たします。ただし、EP の最低月給ぎりぎりで採用される若い人は、2026年中の申請だと S$6,000 に届かない場合があります。

注意が必要なのは S Pass です。S Pass の最低月給は一般の業種で S$3,300〜S$4,800(2027年1月以降の新規申請は S$3,600〜S$5,100)で、DP の基準より低く設定されています。S Pass で働く人が家族を呼べるのは、月給が S$6,000 以上の場合だけです。MOM の S Pass のページも「固定月給 S$6,000 以上の人は、配偶者と子どもの DP を申請できる」と書いています。

  • 「固定月給」なので、ボーナスや残業代、変動する手当を足して基準に届かせることはできないと考えておく
  • 夫婦がそれぞれ働いていても、2人の給与を合計して基準を満たすことはできない
  • 2027年の EP・S Pass の最低月給の引き上げで、DP・LTVP の基準(S$6,000・S$12,000)が変わるという発表は、2026年10月時点で MOM の公式情報に見当たらない
  • 更新のときも、その時点の基準で審査される。MOM は「更新は保証されない」としている

家族を連れて行く予定があるなら、内定の段階で、固定月給が S$6,000 以上か(親を呼ぶなら S$12,000 以上か)、会社が家族のパスを申請してくれるかを確認しておきましょう。

シンガポールの就労パスの種類 →EP・S Pass の最低月給と、2027年の引き上げをまとめています。

LTVP の対象:事実婚の配偶者・継子・親

DP の対象にならない家族のうち、一部は LTVP を申請できます。月給の基準と申請の流れ、手数料は DP とほぼ同じです。

事実婚の配偶者

MOM が求めるのは、本国の法律で認められた事実婚関係(common-law relationship)であることを示す書類です。事実婚の証明書、本人と配偶者が本国で公証を受けた宣誓供述書、本国の大使館が事実婚関係を認める書面のいずれかを出します。日本の事実婚がこれに当たるか、どの書類で示せるかは、公式情報でははっきりしません。会社を通じて MOM に確認してください。

継子・障害のある子

  • 21歳未満の未婚の継子:子の監護(親権)に関する裁判所の命令の写しと、もう一方の実の親が「シンガポールに連れて行くことに異議がない」とする書面が必要
  • 21歳以上で障害のある未婚の子:子の状態についての医師の書面・報告書が必要

親

MOM の EP のページでは、親を LTVP で呼べるのは「月給 S$12,000 以上の EP 保持者」だけとされています。必要書類は、本人(働く人)の出生証明書で、親の名前が書かれたものです。S Pass の人が親を呼べるかを明記したページは見つかりませんでした。該当しそうな場合は会社を通じて MOM に確認してください。

必要書類:英語でない書類は英訳を付ける

家族ごとに追加で出す主な書類(MOM)
家族主な書類
法律上の配偶者結婚証明書の写し
21歳未満の子両親の名前が書かれた公的な出生証明書の写し
養子養子縁組の命令などの写し
事実婚の配偶者事実婚の証明書、公証を受けた宣誓供述書、大使館の書面のいずれか
継子監護に関する裁判所の命令、もう一方の実の親の同意書
障害のある子医師の書面・報告書
親本人の出生証明書(親の名前が書かれたもの)
  • 英語以外の書類は、原本と英訳を1つのファイルにまとめてアップロードする。翻訳は翻訳サービスに頼んでもよい
  • 12歳以下で外国生まれの子を新規に申請する場合、CDA(感染症庁)の予防接種要件の確認書類が必要。すでに DP・LTVP・Student's Pass を持っている子は不要
  • 審査の途中で、MOM が別の書類を求めることがある
  • パスの発行のときに、健康診断の書類または健康状態の申告書のアップロードを求められることがある

日本では、婚姻や親子関係を戸籍の証明書(戸籍謄本など)で示すのが一般的です。どの書類を出すか、翻訳を誰に頼むかは、申請する会社の担当者に早めに確認しておくと、取り寄せや翻訳で慌てずに済みます。

申請の流れ・手数料・審査期間

家族のパスは、本人の EP・S Pass の申請と同時にも、後からでも申請できます。家族1人ごとに別々の申請になります。

DP・LTVP の申請の概要(EP・S Pass 保持者の家族)
項目内容
申請する人本人の雇用主、または指定された職業紹介事業者
申請手数料1人 S$105(申請のとき)
発行手数料1人 S$225(発行のとき)。必要な場合は複数回入国ビザ S$30
審査期間大半は3週間以内
承認後の期限(IPA)EP の家族は6か月以内、S Pass の家族は2か月以内に入国してパスを発行
会社の雇用枠・雇用税かからない

承認から受け取りまで

  1. 会社が myMOM Portal の EP eService で申請し、書類をアップロードする
  2. 承認されると IPA(仮承認)レターが出る。IPA には1回入国用のビザが付いているので、家族はこれを持って入国する
  3. 家族がシンガポールにいる状態で、会社がパスの発行手続きをする。発行の通知レターで、カードを待つ間も出入国できる
  4. 必要な場合は指紋と写真を登録する(EP の家族は発行から2週間以内に EPSC、S Pass の家族は1週間以内に MOM Services Centre)。このとき Singpass も作り、SGWorkPass アプリでデジタルのパスを見られるようになる
  5. 登録・書類確認から5営業日以内にカードが届く

家族は承認が出てから入国する

MOM は、家族を連れてくるのはパスが承認されてからにするよう案内しています。申請の時点で家族がシンガポールにいる必要はなく、旅行者として先に入国していても、短期滞在の期限は延ばしてもらえません。

却下された場合、再審査を申し立てられるのは申請した会社だけで、期限は却下から3か月以内です。却下の理由に対応できる新しい情報がなければ、結果は変わりません。

EP・S Pass の申請の流れ →本人のパスの申請・手数料・審査期間をまとめています。

パスの期間は本人のパスに連動する

DP・LTVP の期間は、本人の就労パスの期限か、申請した期間のうち短いほうです。家族のパスが本人のパスより長く残ることはありません。

  • 更新は期限の6か月前から申請できる。申請するのは会社で、発行手数料は S$225。審査は大半が3週間以内
  • 早めに更新しても、新しいパスの期間は今のパスの期限の翌日から始まるので損はしない
  • 期限までに更新を申請しないと、新規の申請からやり直しになる
  • 更新はその時点の基準で審査される。子どもが21歳になると DP の対象(21歳未満)から外れるので、進学や就職の予定とあわせて早めに考えておく

シンガポールで子どもが生まれたら

シンガポールで生まれた子は、14日以内に ICA で出生届を出します。出生から42日間は ICA の Special Pass で滞在でき、その間に日本大使館でパスポートを取り、会社に DP を申請してもらいます。42日を過ぎても適切なパスがないと、入管法の違反になります。パスポートが間に合わない場合は、申請中であることの証明で DP を申請でき、Special Pass の延長も申請できます。

本人のパスがなくなると、家族のパスも取り消される

本人の EP・S Pass がキャンセルされると、家族のパスもすべて同時に取り消され、元に戻すことはできません。転職や退職、帰任のときに最も影響が大きいのがこの点です。

  • 転職する場合も、古いパスのキャンセルで家族のパスは取り消される。新しい会社に家族のパスも申請してもらう必要がある
  • 家族の DP・LTVP が取り消されると、それにひもづく就労の許可(DP-WP や LOC)も取り消される
  • 家族がシンガポールに残る場合は、会社が STVP(短期滞在のパス)を申請できる。DP は最大90日、LTVP は最大30日
  • 家族のパスを取り消すとき、会社は家族の本国までの航空券(預け荷物込み)を負担する。家族が書面で自己負担に同意した場合を除く
  • 家族だけが先に日本へ帰る場合、出国日から1週間以内に家族のパスをキャンセルする(会社が手続き)
シンガポールで転職するときの手続き →パスの切り替えと、家族のパスへの影響をまとめています。退職・帰国するときの手続き →パスのキャンセル、STVP、家族のパスの扱いをまとめています。

子どもの学校:DP があれば Student's Pass は不要

ICA の案内では、有効な DP・LTVP を持つ子どもは、Student's Pass を取らずに全日制の学校に通えます(宗教に関わる教育を除く)。日本人学校・インター・現地校のどれでも同じです。ただし、通学中に DP・LTVP が期限切れになったり取り消されたりすると、学校を続けるには Student's Pass の申請が必要になります。本人の転職や帰任の予定は、子どもの学校のことも含めて考えておきましょう。

子どもの学校と学費 →日本人学校・インター・現地校の選び方と学費をまとめています。

家族が働くには、別の手続きが必要

MOM は DP・LTVP について「条件を満たせば働ける場合がある」としていますが、DP・LTVP だけで働けるわけではありません。DP の人がシンガポールの会社で働くには、会社に DP-WP・EP・S Pass のいずれかを申請してもらいます。EP・S Pass を取ると DP は取り消され、自分のパスで滞在することになります。MOM 発行の LTVP の人も、LOC では働けず、就労パスが必要です。

DP で働くには:DP-WP・EP・S Pass →帯同家族が働く方法と、会社側の負担、仕事探しの進め方をまとめています。

ONE Pass・PEP・EntrePass で働く人の家族は、条件や申請者が EP・S Pass と違います(PEP・EntrePass は本人が申請するなど)。詳しくは特別な就労パスの記事を見てください。

ONE Pass・PEP・EntrePass の条件 →給与の基準・期間と、家族の扱いをまとめています。

家族を連れて行く前のチェックリスト

  • 自分の固定月給は S$6,000 以上か(親を呼ぶなら S$12,000 以上の EP か)
  • 連れて行く家族それぞれが、DP と LTVP のどちらの対象か
  • 会社が家族のパスを申請してくれるか。本人のパスと同時に申請するか
  • 結婚証明・出生証明に当たる書類と英訳を用意したか
  • 12歳以下の子の予防接種の確認書類が必要か
  • IPA の期限(EP の家族6か月、S Pass の家族2か月)までに入国できるか
  • 子どもの学校と、21歳になる時期の予定を考えたか
  • 家族も働く予定なら、DP-WP・EP・S Pass のどれで働くか

よくある質問

+S Pass でも家族を連れて行けますか?

固定月給が S$6,000 以上なら、配偶者と21歳未満の子の DP を申請できます。S Pass の最低月給は S$3,300〜S$4,800(2027年1月以降の新規申請は S$3,600〜S$5,100)で、基準より低いため、S Pass の人の多くは月給の基準を満たしません。

+夫婦の収入を合わせて S$6,000 以上なら DP を申請できますか?

できません。MOM は、基準は本人の給与で判断し、世帯の合計収入ではないと明記しています。

+親を呼ぶことはできますか?

MOM の EP のページでは、月給 S$12,000 以上の EP 保持者であれば、親を LTVP で呼べるとしています。本人の出生証明書(親の名前が書かれたもの)が必要です。S Pass の人については明記したページが見つからなかったので、会社を通じて MOM に確認してください。

+家族のパスの申請にはどのくらいかかりますか?

EP・S Pass の家族の場合、大半は3週間以内です。手数料は1人につき申請時 S$105、発行時 S$225 です。本人のパスと同時に申請することも、後から申請することもできます。

+家族のパスはいつまで有効ですか?

本人の就労パスの期限か、申請した期間の短いほうです。本人のパスがキャンセルされると、家族のパスも同時に取り消され、元に戻せません。

+子どもが学校に通うのに Student's Pass は必要ですか?

有効な DP・LTVP があれば不要です(宗教に関わる教育を除く)。ただし通学中に DP・LTVP が切れたり取り消されたりした場合は、Student's Pass の申請が必要になります。

+DP の配偶者はシンガポールで働けますか?

DP だけでは働けません。会社に DP-WP・EP・S Pass のいずれかを申請してもらう必要があります。詳しくは「DP で働くには」の記事を見てください。

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